ブルーゾーン石垣シンポジウム|パンと塩がつなぐ、やさしい時間。食から広がる交流のちから

パンと塩、それぞれのセッションで語られてきたお話を、今度は「体験」として味わう時間。
そんな想いから生まれたのが、このパン×塩の体験セッションです。
知識として知るだけでなく、実際に食べて、香りを感じて、味わうことで、食が持つ力を五感で受け取ることが、このプログラムの目的でした。

用意されたのは、地元ベーカリーの食パン、無塩バター、そして石垣島産の天然塩。
驚くほどシンプルな組み合わせだからこそ、素材そのものの魅力がまっすぐに伝わります。
まずは焼き立てのパンをそのままひと口。
ふわりと広がる香りと、やさしい甘みを、参加者は静かに楽しんでいました。

そこに無塩バターをのせ、さらに石垣島の塩をひとつまみ。
それだけで、味わいはぐっと表情を変えます。
塩の粒の大きさや、口に広がるミネラル感によって、同じパンでも印象がまったく違うことに、思わず笑顔がこぼれる場面も。
塩が単に「しょっぱいもの」ではなく、甘みやコクを引き立てる存在であることが、感覚として伝わる時間でした。

会場では自然と会話が生まれていきます。
「この塩、まろやかですね」「こっちは少しキリッとした感じ」
そんな何気ない感想が行き交い、初対面同士でも、パンと塩という共通の話題が距離を縮めてくれました。
食べる、感じる、語り合う——。
その流れの中で、交流がごく自然に育まれていく様子が印象的でした。

この体験セッションは、ただの試食会ではありません。
人が集まり、同じものを味わい、感想を共有する。
その何気ない時間こそが、人と人とのつながりを育て、心の健康をそっと支えている。
そんな「食の場」の本質を、あらためて感じさせてくれるひとときでした。

年齢も立場もさまざまな参加者が、パンと塩を前にすると、皆が同じ一人の“食べ手”になります。
肩書きを越えて、同じ体験を分かち合えること。
その光景は、これからの地域の交流のヒントを、やさしく教えてくれているようでした。 パンと塩という、いちばん身近でシンプルな食材だからこそ浮かび上がる、素材の力と人の感覚、そしてつながりの大切さ。
本セッションは、食が「栄養を摂ること」以上の意味を持つ営みであることを、静かに、そして深く伝えてくれました。

(パン愛好家/パンクラブ主宰)


ひのようこ

日本だけでなく、世界中にパン旅に行くのがライフワーク。旅先で出会った食材とパンのおいしい組み合わせを探求中。TV・雑誌などのメディアやSNS、イベント、トークショーを通じて、パンの魅力を発信中。これまでに食べたパンを記録しているデータベース“パンピューター”は現在7万6千種類。
出演:NHK Eテレ趣味どきっ!、TBSマツコの知らない世界、NHKごごナマ、日本テレビニノさんなど

(一般社団法人日本ソルトコーディネーター協会 代表理事)


青山志穂

塩の魅力を伝えるエバンジェリストとして活動中。国内外の製塩所を500回以上訪問し、保有する塩コレクションは約2400種類に及ぶ。塩を起点に食・美容・健康に関するセミナーや講演、NHKなどのメディアへの出演を通じて塩の魅力を広く伝えるほか、企業や一流シェフと協働で商品開発や地域活性化を行う。代表著書に「日本と世界の塩の図鑑」(あさ出版)など累計7万部超。