ブルーゾーン石垣シンポジウム|八重山の唄に包まれて。声と音がつなぐ、心ほどける時間

DAY1の後半、会場の空気をふっと変えたのは、唄者・金城弘美氏による八重山の唄のステージでした。
医学や食、文化、まちづくりといったテーマについて「考える」時間が続いてきた中で、このセッションは、言葉を超えて「感じる」時間。

音と声が、参加者一人ひとりの心に、そっと寄り添うように響いていきました。

唄者・金城弘美氏

三線のやさしい音色とともに始まった唄は、会場にゆっくりと広がり、次第に空気をやわらかくほどいていきます。 八重山の唄には、喜びや悲しみ、日々の暮らし、自然への敬意、形成の想いが、そのまま音になったような深さがあります。 金城氏の声からは、島の人々が大切に紡いできた感情の積み重ねが、静かに、けれど確かに伝わってくるようでした。

やがて、会場には自然と手拍子が生まれ、参加者同士が顔を見合わせて微笑み合う場面も。 年齢も立場も違う人たちが、同じリズムに身をゆだね、同じ時間を共有する。 その光景は、DAY1を通して何度も語られてきた「つながりが健康を支える」というメッセージを、言葉ではなく体感として示していました。 音楽や唄が心と体に与える影響については、医学の分野でも注目されています。 唄を聴くことで緊張がほぐれ、副交感神経が優位になること、気持ちが安定しやすくなること。 また、声を出したり、リズムに合わせて体を動かしたりすることで、呼吸や心拍が整うとも言われています。 金城氏の唄は、まさにそんな“心の健康”を、やさしく後押ししてくれる時間でした。

八重山の唄が持つもう一つの大きな魅力は、世代を超えて受け継がれてきた文化であること。 親から子へ、子から孫へと唄が伝えられ、その中に土地の記憶や価値観が息づいてきました。 それは、「自分はこの場所の一員なんだ」という安心感や、心のよりどころを育ててきた文化でもあります。 生活様式の変化とともに、唄や三線に触れる機会が減っている今。 それでも今回のセッションを通して、八重山の唄が今もなお、人の心を動かし、人と人を自然につなぐ力を持っていることが、あらためて感じられました。

金城弘美氏の唄が会場に残した余韻は、単なる「鑑賞」を超えた、「共に感じ、共に過ごした時間」として、参加者一人ひとりの胸に静かに刻まれています。 健康とは、体だけでなく、心が満たされ、誰かと気持ちを分かち合えること。 そんなメッセージが、音と言葉を越えて伝わってくる、あたたかなひとときでした。